遺産を渡さない方法 - つきのみや法律事務所|埼玉県さいたま市の弁護士

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遺産を渡さない方法

2017年8月 9日 09:30|つきのみや法律事務所|記事URLコメント(0)トラックバック(0)

1 ある子供に,遺産を渡したくない,というご相談をよく受けます。

2 このような場合,「その『ある子供』以外の者に遺産全部を渡すという遺言を残す」という方法が考えられます。
しかし,子供には遺留分(本来の相続分の2分の1〔民法1028条2号〕)があるため,その遺言を残すだけでは,目的を達成することができません。

3 この場合,まず,「相続人の廃除(民法892条)」を求めることが考えられます。
しかし,この相続人廃除の手続は,「虐待をする」とか「重大な侮辱を加えた」とか「その他の著しい非行」があったとき,と非常に要件が厳しいので,廃除までは認められないケースが多いです。
過去に廃除が認められたケースとしては,
・高校中退以後の金品の持出しや通信販売による多額の借金,及びサラ金の後始末をさせて行方不明になっているというケースや,
・少年時代から非行を繰り返し,親の意に反して暴力団員と婚姻し,無断で自分の父と夫の親との連名で婚姻披露の挨拶状を出したケース,
などがあります。

4 次に,その子が,一切相続しないことを納得しているときは,その子に「相続開始前に家庭裁判所において遺留分放棄の手続(民法1043条)をしてもらう」という方法も考えられます。
しかし,これは,あくまでその子本人が納得していないとできない手続です。

5 最後に,即効性はないのですが,「公正証書遺言で遺言を残す」という方法も考えられます。
この方法は,遺留分自体は残ることになりますが,その後の遺留分減殺請求権が消滅時効になる可能性が高くなるという意味で,ある程度有効な方法と考えられます。
すなわち,遺言書については,死亡後に検認という手続が必要であり(民法1004条1項),この検認の手続を通じて,遺産を残したくない子供にも遺産があることを知られてしまいます(家事事件手続規則115条)が,公正証書遺言の場合には,検認という手続きが省略されています(民法1004条2項)。
遺留分の減殺を請求する権利は,
・「相続の開始及び減殺すべき贈与又は遺贈があったことを知ったときから1年行使しないとき」
・「相続開始の時から10年を経過したとき」
のいずれか早い日で消滅するので,その子と疎遠になっている場合には,後者の適用の可能性が高くなります。

6 以上,遺産を渡さない方法について一般論を述べてきましたが,具体的なお話をうかがってみないと適切なアドバイスはできかねますので,お気軽にご相談いただければと思います。
(弁護士 若狹 美道)

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2017年9月

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