養育費,このままでいいの? 〜その3 - つきのみや法律事務所|埼玉県さいたま市の弁護士

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養育費,このままでいいの? 〜その3

2019年6月13日 11:37|つきのみや法律事務所|記事URLコメント(0)トラックバック(0)

前回のブログでは,養育費の金額を決める際の重要な資料である「算定表」の問題点として,古いデータに基づいて計算された結果が現在もそのまま使われていることを紹介しました。

今回は,「養育費を支払う側の生活費が多めに考慮されている」ことの具体例として,「職業費」の問題を取り上げたいと思います。

養育費の算定において,「養育費を支払う側の基礎収入が少なく計算されてしまうと,算定される養育費の金額も少なくなってしまう」という仕組みは,前回のブログで説明したとおりです。
そして,養育費を支払う側が給与所得者(公務員や会社員など,給料を得て生活をしている方)の場合,基礎収入を計算する上で,総収入(手取り収入ではなく,税込みの支払総額)から,生きていく上で必要な経費の一つして「職業費」が差し引かれています。

さて,「職業費」とは何でしょうか。
算定表が作成された当時の解説(判例タイムズ1111号294ページ)を見ると,職業費とは,給料を得るために必要な経費のことであり,「被服および履き物」「交通」「通信」「書籍・他の印刷物」「諸雑費」「こづかい」「交際費」の7費目の合計であるとされています。

「こづかい」や「交際費」が,養育費の算定において考慮されるのか!と怒りを感じた方もいらっしゃるかもしれませんが,そのことよりも問題なのは,職業費として考慮されている金額が高すぎるということです。

養育費の算定において,職業費は総収入の約20%とされています。つまり,総収入の約20%は,養育費の算定から取り除かれているということです。
平成29年(2017年)分の民間給与実態統計調査(国税庁)によると,養育費を支払う側になることが多い男性の給与所得者の平均年収(総収入)は532万円ですので,平均年収程度の収入を得ている方の場合,年に約104万円(月に8万6000円)もの金額が「職業費」として養育費の算定から取り除かれていることになります。

平均的な会社員が,給料を得るための経費として,月に8万6000円もの出費を必要とするでしょうか。
会社員であれば,交通費は会社から支給されることが多いですし,会社の携帯電話を持たされることもありますよね。上記のとおり,職業費には,「交通」「通信」という費目も含んで計算されてしまっていますので,これだけでも会社員の実態と合っていないことが分かります。

そして実は,この「職業費」には,給料を得るために必要な経費とは言えないものが含まれてしまっています。
次回のブログでも,「職業費」の問題点を続けてご紹介します。


(弁護士 伊東結子)

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