配偶者居住権について - つきのみや法律事務所|埼玉県さいたま市の弁護士

つきのみや法律事務所|埼玉県さいたま市の弁護士

配偶者居住権について

2020年1月20日 15:44|つきのみや法律事務所|記事URLコメント(0)トラックバック(0)

 今回の相続法改正の一つとして「配偶者居住権」というものがあり,2020年4月から施行されます。概要をお話しします。

 被相続人の相続財産の中に住宅があって,預貯金がそれほどない場合に,これまでは,その住宅に住んでいた被相続人の配偶者が代償金を払うことができず,その住宅の取得を断念せざるをえない状況がありました。

 たとえば,4000万円の価値のある住宅と預貯金が500万円あるケース(相続人は配偶者と子供1人)で言いますと,相続財産全体は4500万円となり,配偶者はその半額である2250万円を取得する権利を有するにすぎないことから,住宅を取得して住み続けるためには,もう一人の相続人である子供に対し,預貯金500万円のほかに1750万円(2250万円-500万円)を渡す必要があります。

 残された親子間が円満であれば,ここは話合いで,親に住宅,預貯金を子にという遺産分割協議をすればよいところです。

 しかし,親子間の仲が良くない場合等には,預貯金の500万円に加えて,子が親に1750万円の支払いを求めてくることになります。
 ここで,1750万円が用意できない場合には,親は,住み慣れた住宅を売って現金化する必要が出てきたりします。
 このような不都合を是正するために考えられたのが,配偶者居住権です。

 上記の例で言うと,配偶者は4000万円の住宅の配偶者居住権(仮に2000万円とします。)を取得し,他方,子供は住宅の負担付き所有権(仮に2000万円とします。)を取得し,預金については250万円ずつを配偶者と子供が取得することになります(配偶者居住権の評価については厳密には複雑な計算が必要です。)。
 配偶者居住権の存続期間は,配偶者が亡くなるまでです。
 遺言書にその内容が記載されるか,遺産分割協議で配偶者居住権取得を決める必要があります。
 なお,負担付所有権を持っている相続人(先の例で言うと,子供)がその負担付き所有権を第三者に譲渡してしまうと,第三者に明け渡さなければならなくなるので,配偶者居住権は登記しておかねければなりません。

 これに対し,「配偶者短期居住権」というのがあります。
 先の例で言うと,子供が住宅を取得し,配偶者が2250万円を取得することになった場合等に,配偶者は,子供に住宅を明け渡さなければなりませんが,短期間(6ヶ月)だけその期間を猶予されるというのが「配偶者短期居住権」の制度です。

詳しくは,またの機会にお伝えしたいと思います。

(弁護士 若狹美道)

ページ上部へ