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養育費はどうやって決めるの?・その3

2018年6月13日 16:38|つきのみや法律事務所|記事URLコメント(0)トラックバック(0)

 前回のブログでは,養育費の金額を決める際の重要な資料である「算定表」の見方について,夫婦の収入が「給料」である場合(会社員・アルバイトなど)を取り上げて具体的な説明をしました。
今回のブログでは,夫婦のいずれか(もしくは両方)が自営業者の場合について,算定表の見方を詳しく説明します。

これまでのブログにも記載しましたが,算定表で養育費を計算するにあたっては,次のデータが必要です。
(1)子どもの人数,年齢
(2)夫婦それぞれの職業(例:会社員,自営業)
(3)夫婦それぞれの年収(税引き前の支払総額)
また,以下の記事を読む際には,算定表がお手元にあると分かりやすいと思います。
※算定表は,東京家庭裁判所のホームページからダウンロードすることができます(http://www.courts.go.jp/tokyo-f/saiban/tetuzuki/youikuhi_santei_hyou/)。

夫婦のいずれか(もしくは両方)が自営業者である場合,算定表の「自営」の欄に記載された数字を参照します。
前回のブログにも記載したとおり,養育費を支払うことになる側(離婚後,子どもと離れて暮らすことになる側)が「義務者」,養育費をもらうことになる側(離婚後,子どもと一緒に暮らすことになる側)が「権利者」ですので,算定表の縦軸・横軸に記載された「年収」は,義務者・権利者のそれぞれの年収を当てはめて見ていくことになります。

自営業者の「年収」は,確定申告書の控えを資料にして把握することになります。自営業者の総収入は,確定申告書の「課税される所得金額」であって,売上金額そのものではありません。また,税法上控除されたもののうち,現実に支出されていない費用(例:青色申告控除)については,「課税される所得金額」に加算して総収入を認定することになります。
具体的には,自営業者の総収入は,確定申告書の「所得金額」(確定申告書B表の⑨の金額)から「社会保険料控除」(同表⑫の金額)のみを控除し,「青色申告特別控除」(65万円)を加算して認定することになります。
 自営業者の総収入=確定申告書B表の⑨の金額-同表⑫の金額+65万円
※「+65万円」をするのは,青色申告特別控除を受けている場合のみです。

こうして算定表の縦軸・横軸の数字を確定し,そこから表内にたどっていき,交差した点の属する金額帯が養育費の月額の目安となります。

算定表によって簡易計算される養育費の月額は,あくまでも「目安」であるということは,前回のブログでご説明したとおりです。
また,夫婦の一方が自営業者である場合,総収入の正確性(例えば「経費を実際より多く計上して課税対象額を減らしている」等)が問題となることがあります。そういった場合にどのような主張が可能となるかはケースによって異なりますので,詳しくはご相談ください。

次回は,夫婦の一方(もしくは両方)が年金受給者の場合について,算定表の見方を詳しく説明する予定です。
★養育費の算定については,「無職の場合は?」「新算定表って何?」といったテーマについて,連続して取り上げていく予定です。

(弁護士 伊東結子)

養育費はどうやって決めるの?・その2

2018年4月23日 16:07|つきのみや法律事務所|記事URLコメント(0)トラックバック(0)

 前回のブログでは,養育費の金額を決める際の重要な資料である「算定表」について,基本的な説明をしました。

今回は,夫婦の収入が「給料」である場合(会社員・アルバイトなど)について,算定表の見方を具体的に説明します。

前回のブログにも記載しましたが,算定表で養育費を計算するにあたっては,次のデータが必要です。
(1)子どもの人数,年齢
(2)夫婦それぞれの職業(例:会社員,自営業)
(3)夫婦それぞれの年収(税引き前の支払総額)
また,以下の記事を読む際には,算定表がお手元にあると分かりやすいと思います。
※算定表は,東京家庭裁判所のホームページからダウンロードすることができます(http://www.courts.go.jp/tokyo-f/saiban/tetuzuki/youikuhi_santei_hyou/)。

夫婦の収入が「給料」である場合,算定表の「給与」の欄に記載された数字を参照します。
養育費を支払うことになる側(離婚後,子どもと離れて暮らすことになる側)が「義務者」,養育費をもらうことになる側(離婚後,子どもと一緒に暮らすことになる側)が「権利者」ですので,算定表の縦軸・横軸に記載された「年収」は,義務者・権利者のそれぞれの年収を当てはめて見ていくことになります。

算定表を見ていく時の「年収」は,税引き前の支払総額を当てはめます。ですので,資料として源泉徴収票や課税証明書の控えがあると,「年収」を正確に把握することができます。
例えば,源泉徴収票であれば,「支払金額」の欄に記載された数字が算定表を見る際の「年収」になります。また,課税証明書(市民税・県民税の所得証明書)であれば,「所得の種類・金額」欄のうち「(給与収入)」に記載された数字が「年収」になります。
こうして縦軸・横軸の数字を確定し,そこから表内にたどっていき,交差した点の属する金額帯が養育費の月額の目安となります。

算定表によって簡易計算される養育費の月額は,あくまでも「目安」です。お子さんが私立学校に通う場合やお子さんに障害がある場合などは,算定表によって算出される金額より増額すべきという結論になることもあります。ケースによって異なりますので,詳しくはご相談ください。

次回は,自営業者の場合について,算定表の見方を詳しく説明する予定です。
★養育費の算定については,「年金受給者の場合は?」「無職の場合は?」「新算定表って何?」といったテーマについて,連続して取り上げていく予定です。

(弁護士 伊東結子)

養育費はどうやって決めるの?・その1

2018年3月16日 11:04|つきのみや法律事務所|記事URLコメント(0)トラックバック(0)

 離婚後の生活を考えるにあたって,避けて通れないのが「お金の問題」です。食費,衣類,日用品,学費…。子育てには本当にお金がかかりますよね。「養育費」は,離婚後の生活を支える重要な要素です。

今回のブログでは,養育費の決め方について説明をしたいと思います。

養育費は,離婚をした後に,子どもと離れて暮らす親が,子どもに対して支払う扶養料です。離婚をし,離れて暮らすようになっても,子どもの「親」であることに変わりはありませんから,子どもを養う義務があります。遠く離れて暮らすようになり,思うように子どもと会えなくなったとしても,養育費は必ず支払わなければなりません。

養育費の金額は法律で決められていませんので,離婚をする際に夫婦が話し合い,具体的な金額をきちんと合意することができれば問題ありません。
もちろん,離婚をした後で養育費の取り決めをすることもできますが,子どもの安定した生活のためには,やはり,離婚をする前に養育費の金額を決めておくことが望ましいでしょう。

話し合いができない時や,折り合いがつかない時は,家庭裁判所に調停を申し立てて具体的な金額を決めることになります。
ここで必ず見ておかなければならない資料があります。「算定表」と呼ばれている,養育費の簡易計算表です。東京家庭裁判所のホームページにPDFが掲載されていますのでhttp://www.courts.go.jp/tokyo-f/saiban/tetuzuki/youikuhi_santei_hyou/),ぜひ一度ご覧ください。

先ほど述べたとおり,養育費の金額は法律では決まっていません。この「算定表」は,あくまでも,養育費の月額として適切と考えられる金額を簡単に計算するための道具に過ぎないのですが,この表によって計算された金額が,家庭裁判所の調停や裁判(審判・判決)に非常に大きく影響しているのが現実です。
ご自身のケースで,算定表で計算した養育費がいくらになるかをあらかじめ知っておくことは,今後の見通しを立てる上でとても重要ですので,養育費に関するご相談を受けた時には,必ずこの表を参照することになります。

算定表で養育費を計算するにあたっては,次のデータが必要です。
(1)子どもの人数,年齢
(2)夫婦それぞれの職業(例:会社員,自営業)
(3)夫婦それぞれの年収(税引き前の支払総額)
※資料として源泉徴収票や課税証明書,確定申告書の控えがあると,(3)の金額を正確に把握することができます。

算定表で養育費を計算することができるのは,子どもの人数が3人までのケースです(4人以上の子どもがいるケースでは,表ではなく計算式を用いて計算をすることになります)。
この時,人数に入れることができるのは,未成年(このブログを書いている時点では20歳未満)の子どものみです。2人いる子どものうち,上の子はもう成人しているというケースでは,養育費の計算の上での子どもの人数は1人になります。

子どもの年齢構成によって,参照すべき算定表は異なります。例えば,子どもは2人で,上の子は16歳・下の子は13歳というケースでは,算定表の「表4」を見ることになります。

長くなってきましたので,算定表の見方については,次回に続けて説明します。
算定表を見る時に自営業者の「年収」をどのように計算するかなど,算定表の見方には少し複雑なところもありますので,次回はそのあたりを詳しく説明する予定です。

(弁護士 伊東結子)

親権ってどうやって争うの? ~親権争い編・その3~

2018年2月 2日 13:50|つきのみや法律事務所|記事URLコメント(0)トラックバック(0)

 前回に引き続き,今回のブログのテーマも「親権の争い方(手続の流れ)について」です。
今回は,前回のブログでは書ききれなかった「家庭裁判所調査官による調査」の具体的な内容をご説明します。

前回のブログでもご説明したとおり,親権が激しく争われるケースにおける手続は,
裁判官による調査命令 → 調査官による調査 → 調査報告書の作成 → 裁判官が調査報告書を参考にして親権を決定(※)
という流れになります。
(※)ケースによっては,裁判官が親権を決定する前に,当事者尋問(夫婦それぞれが家裁に出頭し,法廷で質問に答える手続)を行うことがあります。

この中の「調査官による調査」では,以下のような方法で調査が行われます。
以下の方法を全て実施するということは少なく,ケースに応じて,この中から方法を取捨選択して実施することになります。ケースによっては,下記以外の方法が実施されることもあり得ます。
また,調査官による調査の基礎資料として,あらかじめ,母子手帳や,学校の通知票,幼稚園・保育園の連絡帳などを提出するのが一般的です。

<調査官による調査の方法(例)>
① 調査官が,親権を争っている当事者(父・母)それぞれと個別に面談して,これまでの生活状況などを聴き取る(面談時間は2時間程度です)
② 調査官が,子どもと面談をして,子どもからこれまでの生活状況などを聴き取る(調査官と子どもが面談をする場に,父も母も立ち会うことはできません。面談は,③の家庭訪問調査に合わせて行われることもあれば,裁判所で行う場合もあります)
③ 調査官が,子どもが生活をしている家庭を訪問して,住環境などを確認する
④ (父・母がすでに別居をしている場合)調査官が,子どもを引き取ることを希望している当事者(父または母)の自宅を訪問して,住環境などを確認する
⑤ 調査官が,監護補助者(父・母以外で,子どもの養育をサポートしてくれる人物。例:祖父母)と面談をして,監護補助の状況を聴き取る
⑥ 調査官が,学校や幼稚園・保育園などから,学校などでの様子について聴き取る(調査官が,電話もしくは訪問の方法で聴き取りを行うことになります)
⑦ (別居期間が長くなっている場合など)裁判所の児童室などで,別居している当事者(父または母)と子どもが面会し,その場に調査官が立ち会って,子どもの様子を観察する(いわゆる「試行面会」)

このような調査を経て,調査官は,どちらが親権者になるべきか等の意見を記載した「調査報告書」を作成し,裁判官に提出します。
専門的知識をもつ調査官が,十分な調査を経て作成した報告書は,裁判官の判断に大きな影響を与えることになります。

調査開始から調査報告書ができあがるまでの期間は2ヶ月程度ですが,様々な方法による調査が行われるケース(上記①~⑦の全てを実施するようなケース)では,調査報告書ができあがるまでにさらに時間がかかることもあります。
親権が激しく争われるケースでは,このような調査が行われることもあり,離婚訴訟が長期化することになります。

次回のブログでは,養育費の決め方や金額の争い方について説明をする予定です。

(弁護士 伊東結子)

親権ってどうやって争うの? ~親権争い編・その2~

2017年10月23日 16:22|つきのみや法律事務所|記事URLコメント(0)トラックバック(0)

今回は,親権の争い方(手続の流れ)についてご説明します。

前回のブログで,親権を争うことをお考えの場合にお伺いしたい事情として,以下の事柄を挙げました。
*お子さんが生まれてからこれまでの育児の分担状況
*両親などの親族から育児の手助けを受けているか(今後受けることができるか)
*ご夫婦・お子さんの健康状態
*ご夫婦の収入の状況

そして,中でも重要なのは,「お子さんが生まれてからこれまでの育児の分担状況」であり,日常的な衣食住やしつけについて,夫婦のどちらがどのように担当してきたかが家庭裁判所の最大の関心事であると記述しました。

こういった事柄を強調するのは,これまでの育児の分担状況が,親権争いの結果を大きく左右する「家庭裁判所調査官による調査」において特に重視される事柄だからです。

親権が激しく争われるケースでは,裁判外での話し合いや,調停(家庭裁判所内での話し合い)で決着することは難しく,裁判にもつれ込むことが多くなります。
そういった場合,夫婦のどちらを親権者にするかを,裁判官が決めることになります。

裁判官が親権者を決める際に判断の材料にするのが,家庭裁判所調査官による調査の結果です。
調査官とは,児童心理学などの研修を受け,専門的知識に基づいて事案の背景事情などを調査する専門職員のことです。
調査官は,裁判官からの命令を受けて必要な調査を行い,その結果を「調査報告書」にまとめます。

この「調査報告書」には,調査によって分かった事実関係だけでなく,調査官の意見が記されます。
裁判官は,この「調査報告書」の内容を踏まえて,夫婦のどちらを親権者にするかを決めることになるのですが,離婚事案に多く関わる弁護士の実感としては,この「調査報告書」の内容から大きく外れた決定をする裁判官はほとんどいないというのが実情です。

このように,親権が激しく争われるケースにおける手続は,
裁判官による調査命令 → 調査官による調査 → 調査報告書の作成 → 裁判官が調査報告書を参考にして親権を決定(※)
という流れになります。
(※)ケースによっては,裁判官が親権を決定する前に,当事者尋問(夫婦それぞれが家裁に出頭し,法廷で質問に答える手続)を行うことがあります。

少し長くなってきましたので,「調査官による調査って,具体的にどういうことをするの?」という点については,次回のブログでご説明したいと思います。

(弁護士 伊東結子) 

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