投資被害 - つきのみや法律事務所|埼玉県さいたま市の弁護士

つきのみや法律事務所|埼玉県さいたま市の弁護士

投資被害

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顧客が証券会社等の金融商品取引業者を通じて株、投資信託、仕組債、デリバティブ(通貨オプション、金利スワップ等)等の取引を行った場合における被害を証券取引被害といいます。

近年証券会社だけでなく、銀行までもが、十分な説明なく非常にリスクの高い投資信託・デリバティブ等を購入させる被害が多発しています。

例えば、銀行の販売している商品の中に、「日経平均株価の値動きに連動する債券」に投資する投資信託などがあります。

日経平均株価という指標に連動することになりますので、株取引一般について知識・興味を持っている方ならば、それほど理解困難ではないのではないかという印象を持たれるかもしれません。

しかし、例えば 「原則として債券の満額の償還を受けることができるが、いったん日経平均株価が30%下落してしまうと、その後の日経平均株価の値動きに応じた償還が受けられるにすぎなくなる」

「当初1年目は年利9%のクーポンを得られるが、半年ごとの利払日に、その時点の日経平均株価が当初の日経平均株価以上の株価である場合には、その時点で債券が満額償還される」

という条件が設定されているという話になると、これまで投資などしたこともなく投資意欲もないお年寄りにとっては、理解することが非常に困難になってきます。 通常の株取引であれば株価が上がれば値上がり分の利益が得られますが、この投資信託では株価が上昇しても株価上昇分の利益が得られず、株取引をした場合と比較して得られる利益が限定されることになります。

また、この投資信託では、解約できる時期が限定されており、しかも解約する場合には、多額の解約料を払う必要があったりします(これは解約時点の下落した債券価格の償還しか受けられないためと思われます。)。そして、この解約料の額については計算式が明示されていません。例えば、3年の期限が設けられている場合、原則として3年間は解約ができず、日経平均株価が30%下がりそうなので解約しようと思っても、多額の解約料を支払う必要があるため、解約を事実上制限されてしまうことになるわけです。そうすると、3年間の日経平均株価の動きを見通した上で、投資する必要があることになります。

以上より、このような投資信託に投資してもよいのは、「この3年先において日経平均株価が上昇することはないが、かといって当初価格より30%以上下がることもないだろう」という、およそ不可能と言っても良い、高度な予測ができる非常に経験値の高い投資家に限定されるといえます。

もし3年以内に日経平均株価が上昇すると考えているならば、本件投資信託よりもむしろ株(ないし日経225先物)を購入すべきですし、仮にこの先3年間に日経平均株価が30%以上下落すると考えるならば、利率は低いが元本が事実上保証されている国債等の債券を購入すべきです。何より、この先3年間の日経平均株価の予測をする必要がある点で、相当高度な投資判断が必要な取引であることは間違いないといえます。ちなみに3年先の日経平均株価の見通しなどプロでも予測不可能と言われています。

また、少し難しい話になりますが(読み飛ばしていただいても結構です。)、この種の投資信託の得られるクーポン(例えば、当初の1年は年利9%、以後は1%)は、投資した資金を運用した対価ではなく、顧客が業者に対しプットオプション(売る権利)を売った対価(プレミアム)が大部分を占めています。すなわち、クーポンは、大雑把に言いますと、日経平均株価が下がる危険を顧客が引き受けるかわりに貰う一定の金額、いわば保険料のようなものです。そして、その対価(プレミアム)はブラック・ショールズ・モデル等の難しい公式により算出されることになります。

また、クーポンの額については、業者側が自分たちの手数料等を差し引いた後の金額であるため、ブラック・ショールズ・モデルなどの公式によりきちんと計算されたオプションの正当な対価より大幅に少ない金額となっているのです。しかし、そのことが顧客に対して説明されていません。要するに、当該商品が危険に見合った対価を得られる構造になっていないということを顧客が知らされていないのです。

さらに、仕組債等の分析を専門とする会社に、上記と同様のとある投資信託の分析を依頼したところ、早期償還される確率が約60%、最終満期まで行く確率は約40%、最終満期まで行った場合に一度でも日経平均株価が30%以上下落している(ノックインしている)確率は約87%で、最終満期に償還される元本の期待値は約70%という結果が出ました。すなわち、約4割の確率で最終満期まで行き、その場合、約7割の元金が償還されるにすぎない、非常に危険性の高い商品だというのです。

ところが、銀行が、これまで何ら投資経験のない、定期預金が満期になった顧客に対し、「もっと利率の良い商品がありますよ。」などと述べ、上記のような複雑難解で危険性の高い投資信託を購入させるという酷いケースがあるのです。 このようなケースでは、訴訟において適合性原則違反・説明義務違反を主張して、被った損害について損害賠償請求をしていくことになります。また、事前に証拠を保全する手続を行い、有利な証拠を収集することも重要になります。

なお、解決方法としては、訴訟だけでなく、金融ADR(全国銀行協会あっせん・FINMAC等)を利用することも考えられます。 お気軽にご相談いただければと思います。


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